アイが天の川を使ったあとを断片的に文章化

アイの目的

「ぐー」

アイは伸びをして目を開ける。

うまくいったようだった。

今のアイは、花畑のような所に寝転んでいる。

そういえば、宇宙は大丈夫だろうか。それが少しだけ気がかりだった。

「ケラケラ」

「!?」

アイのそばにイモムシのようなのがいた。

こちらを見て笑っている。

「きみは?」

「ケラケラ、珍しいなあ」

「なにが?」

「それ」

「ん?あっ!」

アイのポケットの近くに黒く小さなモヤモヤが転がっていた。

「大丈夫かな…アイはここから来たんだ」

「ケラケラ、珍しいなあ」

イモムシが繰り返す。

「え?あ、あれ!?アイ、なんで宇宙より大きいんだろう…」

アイが恐る恐る最後の言葉を口にする。

今までのアイは、宇宙の外を目指して旅をしてきた。

普通の方法ではその境界にたどり着けない。そのようになっている。

タイムマシンで過去に向かおうにも、宇宙の始まりより前には行けなかった。おそらく、宇宙の時間はそこからはじまるからだ。始まった瞬間から境界は遠ざかる。

アイは、未来の特性をもつ神を探していた。宇宙の過去ではなく、未来から外を目指すことにした。

銀河団の権限を使い、次の銀河に向かった。そうしていくつかの銀河を経てようやく探しだした。

宇宙にも終わりがあり、宇宙が終わると、もしかしたら、境界にたどり着けるかもしれない。

思ったとおり、宇宙が終わる瞬間に境界が届いた。

そうして、アイは、未来を使い、ようやく宇宙の外にたどり着いたところだった。

アイが来たとき時間を戻したはずだった。しかし、何かの手違いで無残な宇宙の姿のままになってしまうことを恐れた。

「ケラケラ、違うよ」

「な、なにが!?」

アイが少し慌てている。

「ここでは、力が見える形に。僕が知っている限りはね。君はそれを超えただけさ」

「でも、本当の宇宙はどこまでも広くて大きいよ。なんでアイのほうが大きく見えるの?」

「ケラケラ、すべては見え方の問題に過ぎない。例えば、そこでは大きいほうが強かった?」

イモムシはアイの近くに転がっている黒玉を指して言う。

「うーん、小さかった。例えば、ブラックホールっていうんだけど…」

「ケラケラ、大きさで力は測れない」

「ふーん…でもここでは力が見える形って…」

「ケラケラ、力にもいろいろ。君のことを知っているよ」

「え?」

「君が小鳥と暮らしてたときのこと」

「…なんでしってるの」

「君はあのときから既に君だった。君は力を持っていた。はじめから覚醒していたんだ」

「……」

「君は、生きとし生きるものを助けると同時に、死にゆく命を暖かく見送るのだ」

「……」

「ここは残酷な世界。君が世話をしていたものたち。他の生命を食べている。それが生き物、それが生命。そして、残酷な運命が終わるとき、姿かたちを変えてまた現れる」

「……」

「君は、そのことを知っている。だからこそ、暖かく見送るだけだった」

「…アイはあのあと…」

「ケラケラ、君が言いたいことはわかる…きっと、だから、君はここに来た」

「ここに呼びたい人がいるんだ」

「ケラケラ、それはだれ?」

「しらないの?」

「ケラケラ、そんなこと知るはずない」

なんでも知っていると思っていたイモムシだが、肝心なことは知らなかった。なぜだろう。それとも…。

「ここに来たいって願った人がいたんだ」

「ケラケラ」

「アイにできる?」

「ケラケラ、君は、それに関してならなんでも。そう思う」

「ふーん、よかった」

「ケラケラ、でも、君は」

「なに?」

「君は、ここではなにもできない」

「うん。アイね、またさいしょから」

「ケラケラ、ケラケラ」

「ここのことまた教えてよ」

「いいともいいとも」